【危険】パーキンソン病と有害化学物質の関連性とは

パーキンソン病と有害化学物質の関連性

ノースカロライナ州住む66歳の元宇宙飛行士マイケル・リチャード・クリフォードさんは、3回目の宇宙飛行の前にパーキンソン病を患っていることが発覚しました。当時、彼はわずか44歳で健康状態は良好。家族に神経障害を持つ人はいませんでした。

しかしクリフォードさんは何十年にもわたって有害物質に晒されていた過去がります。そのため有害物がパーキンソン病の原因である可能性は容易に想像することができました。

クリフォードさんの例:様々な有害物質との長年にわたる接触

クリフォードさんは若い頃、ガソリンスタンドで脱脂剤を使って車のエンジンを洗浄する仕事をしていたと言います。また、農場でも働いていた経歴があり、殺虫剤を使用し農薬の散布も行っていました。その後、飛行士として、テスト飛行の準備のためにエンジンを洗浄する機会も多くありました。そしてこれら全ての仕事で、皮膚や口からの吸収に対する防護の類は全く施されていなかったそうです。

禁煙者であるクリフォードさんは、様々な有害物質との長年にわたる接触が、若くしてパーキンソン病を発症した理由と考えています。いくつかの化学物質はパーキンソン病と強い関係があり、ここ数十年でパーキンソン病の診断が劇的に増加しているのは、これらの化学物質への露出が原因の可能性があると考えられています。

有害物質と病気の因果関係:たばこの煙と肺がんの場合

そうは言っても、医学文献的には、人々の習慣や様々な物質との接触をアレルギーや心臓病、癌などの様々な病気を発症するリスクとの関連性に結びつけることは困難です。このような関連性は、因果関係を証明出来るものではありません。

しかし時には、その因果関係が非常に強力で、説得力のある確たる証拠に繋がることもあります。たばこの煙と肺がんの関連性がこの典型的な例です。

「決定的な証拠がない」というたばこ産業の主張にもかかわらず、実験と疫学の両方の証拠から、人がタバコをやめて長い間経っても、癌を引き起こす可能性があることを否定することはできないということが分かっています。

パーキンソン病の原因

上記のように、研究結果から、パーキンソン病が有害化学物質の影響を受けるということを否定することはできません。

研究者達はパーキンソン病の増加を “人為的な疫病 “と呼んでいます。パーキンソン病の流行は工業化の進展に密接に比例しており、世界各国での農薬、工業用溶剤、脱脂剤の使用によって劇的に増加しています。

過去25年間で、パーキンソン病の有病率は、世界的には22%、インドでは30%、中国では116%上昇しているのです。さらに、工場や農場勤務で有害物質にさらされる職業に就く可能性が高い男性の方が、女性よりも40%以上のリスクがあります。

しかし、その種の職業についていないからリスクを免れているわけではないのです。パーキンソン病と関連のあるトリクロロエチレン(TCE)と呼ばれる溶剤は、日本の環境に広く普及しているため、ほとんどの人がそれにさらされています。TCEは国内の井戸や地下水を汚染しており、容易に蒸発するため、空気中に入っても気づかれないようになっています。
もう一つの有害物質である殺虫剤パラコートは、パーキンソン病のリスクを150%増加させる可能性があります。中国を含む32カ国で禁止されているが、米国では禁止されておらず、過去10年間に農地での使用が倍増しています。オランダでは、TCEとパラコートの両方が数年前に禁止され、その後パーキンソン病の発生率は減少しています。

パーキンソン病の症状

喫煙者全員が必ず癌になるわけではないのと同様に、パーキンソン病のほとんどの症例は、環境露出と遺伝的素因の相互作用が関係しています。しかし、癌と喫煙の関係と同様に、化学物質とパーキンソン病の発症にも、因果関係を強く示唆する証拠が多数存在します。

パーキンソン病は進行性の病気で、震えやこわばり、動きが鈍くなる、歩行困難、バランス障害などが特徴です。また、嗅覚障害や便秘、睡眠障害、うつ病などの症状も出てきます。症状を緩和する薬はありますが、治療法はまだありません。徐々に症状が悪化していく中で何十年も生活していくことになり、介護者の負担もかなり大きくなります。

パーキンソン病のリスクを減らすには

パーキンソン病の原因はまだはっきりしていないため、現状では確実な予防法は存在しません。

しかし、パーキンソン病へのリスクを減らすには、有毒化学物質への露出を防ぐだけでなく、定期的な運動と健康的な食事を取るのが良いと考えられています。

何事もまずは知ることが大事です。今から出来ることをしておきましょう。


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