ストレスは体の全体に影響を与える
世界的に蔓延しているコロナウィルスにかかることへの恐怖が私たちの新しい「普通」になりつつある現代。2020年3月下旬の時点で、日本人の60%が通常より「多くの」ストレスを感じていると答えています。
戦うか逃げるか反応
現代人が多くのストレスわ抱えていると言っても、ストレスは常に「悪」ということではありません。虎が猛スピードで襲ってきたり、上司から呼び出しのメールが届いたりと、人間が脅威を感じると、感情を処理する脳の一部である扁桃体が体の他の部分に警報を鳴らし、神経系のコントロールセンターである脳の視床下部に危険が迫っていることを警告します。すると視床下部はアドレナリン、そしてコルチゾールホルモンを放出して、体を行動に駆り立て、脅威に対応するための準備をさせるのです。
このすべてを合わせて医学的には「戦うか逃げるか反応(闘争反応、逃走反応)」と呼ばれています。
「戦うか逃げるか反応」は現代には合わない
机上では正確なシステムのように感じますが、この反応は完璧ではありません。戦うか逃げるか反応が原始的な急性の短期的なストレスのために設計されているからです。
私たち現代人のストレス要因のほとんどは、要求の厳しい仕事の積み重ね、貧困や失業、人種差別など、人間の起源では存在しなかったものばかりです。長期的なストレスは外的から守ってくれる免疫システムを弱め、新たな病気だけではなく薬の服用等で制御出来ていた持病の悪化を促します。さらにストレスの結果として血液中に放出される化学物質は望ましくない副作用をもたらすことがあります。
感情的には不安やうつ、物理的には、頭痛、動悸、胸の締め付けのような症状です。
ストレスはコントロールできる
人々は自分自身を教育し、ストレスに対する防御を身に付けることによって、これらの影響を軽減し、幸福を向上させることができます。私たちの周りで起こっていることをコントロールすることはできなくても、ストレスレベルをコントロールすることはできますし、問題を悪化させるだけの事から自分から距離を遠ざけることもできます。
可能な限り安定した睡眠スケジュールを維持したり、アルコールやコーヒーの摂取量を最小限に抑え、身体を定期的に動かすことは、安定した効果をもたらします。
ストレスの影響は人それぞれ
ストレスの影響は人それぞれです。緊張性頭痛を感じる人もいれば、消化器系の不調を感じる人もいますし、状況にもかかわらず特にストレスを感じない人もいます。
この記事ではストレスが頭から足の指先まで、あらゆる場所でどのように体に影響を与えるかを説明していきます。自分の中にあるサインをしっかりと察知して、それに応じた行動をとりましょう。
ストレスが引き起こす症状
1. ストレスは不眠を引き起こす
「1時間おきに目が覚める。」「眠れない……。」それはストレスの典型的な症状です。日中疲れているのに目が冴えてしまって眠れないと感じるのは、ストレスや不安によって常に周りを警戒し続けているからなのです。
ストレスはレム睡眠(体が充電するために必要な超安眠状態をとること)を難しくし、体力を消耗させ、さらなるストレスを与えてしまいます。
2. 肌荒れを引き起こす
重要な会議の直前や大事なデートの前日にニキビができてしまう場合は、ストレスによって誘発された可能性が高いです。
ストレスを感じているときに発生したコルチゾールは、テストステロンのような他のホルモンの生産の増加を促します。増加したテストステロンは、油の生産を後押しし、詰まっている毛穴などに繋がる肌の皮脂腺の活動を刺激してしまうのです。
3. 皮膚疾患を引き起こす
湿疹、乾癬、酒焼けのような肌疾患も、すべてがストレスが引き金になることが多いです。戦うか逃げるか反応を担当するホルモン、コルチゾールとアドレナリンの増加が炎症を起こすのです。
4. 髪の毛が薄くなる
油分の分泌量が増えることによる副作用は、ニキビだけではありません。頭皮の油分が過剰に分泌されると、脂漏性皮膚炎を引き起こし、フケや抜け毛の原因となります。
脂漏性皮膚炎に加えて、一部の人はストレスを受けてから数ヶ月後に抜け毛が増える症状を経験することがあると言います。しかし毛根が死滅するわけではないので、ほとんどの場合、髪の毛は再び生えてきます。
5. 偏頭痛を引き起こす
片頭痛が起きる理由は正確にはわかっていませんが、専門家は脳内で通常生産される物質(神経伝達物質のようなもの)に大きな変化があったときに起こる現象であると考えています。
ストレスを感じると、コルチゾールとアドレナリンの巨大な上昇を伴うことを考えればストレスが片頭痛の主な原因であることは容易に考えられます。
6. 歯ぎしりの原因になる
歯ぎしりや、歯を食いしばったりすることを医学用語で「ブラキシズム」といいますが、これはストレスやエネルギーの消耗によって引き起こされることが多いです。
頭痛がしたり、顎が痛くなったりするまで気づかないことが多いため、長期的には歯が欠けたり、浸食する原因となり、高価な歯科修理が必要になることがあります。
7. 筋肉の痛み
思いがけない背中や首の痛み、肩の張りに気づいたらそれもストレスのせいだと思ってください。
ストレスを感じると、呼吸に関わる筋肉である横隔膜はきつく収縮してしまいリラックスして呼吸をすることができません。体のコアから発する健康的な深い呼吸をするのではなく、首や肩で短くて浅い呼吸をしてしまうと肩と首の両方の領域で痛みや緊張が生じてしまうのです。
8. 消化不良になることも
腸には、脳との間で信号を送受信する半独立した機能を持つ何億もの神経細胞があり(脳腸軸と呼ばれています)、ストレスやその他の感情的な反応に対して消化器系が深く敏感に反応するようになっています。
体が戦うか逃げるかモードに入ると、それに対応するため、体内部のエネルギーを脅威の反応に当て、脅威が軽減されるまで消化器系を一時停止にしてしまいます。それは正常な消化の流れを乱し、便秘、下痢、または胃の痛みに発生させる場合があります。
また、腸内フローラの働きに影響を与えることもあります。
9.性欲さえも
一般的に日々のストレスは、性行為の量を減らすことに関連付けられています。そのため、パンデミックや自然災害の年は低性欲を多く引き起こすことでしょう。考えてみてください、ストレスを司る脳の原始的な部分は、コロナウィルスのストレスとトラに攻撃されたストレスを区別することができないはずです。
10.月経周期に影響を及ぼす
ストレスは月経周期を乱す恐れがあります。人間の間脳に位置する視床下部は内分泌系を介して卵巣と子宮のホルモンを制御します。ストレスによって引き起こされるコルチゾールレベルの上昇は、視床下部にゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の生産を停止するように指示します。GnRHが低くなると、下垂体が卵巣で排卵を促進する他のホルモンを放出しなくなるので、月経が乱れることがあるのです。
虎から逃げようとしている場合を想像してみてください。体はあなたの月経や排卵の事など考えてはいません。あなたがより速く走れるように、コルチゾールの機能を維持するためにすべてのホルモンを保存しようとしているはずです。
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